仕事 / WORK

新型コロナ対応でアメリカ人と大揉めした話

一時期の感染拡大による大パニックからは落ち着いたものの、未だ油断はできないようなこのタイミングに、私の駐在先の会社でPCRで陽性が出たという従業員が。

そこでその後の対応をめぐって日本人(社長やその上司に当たる本社の上層部)と現地アメリカ人のマネージャー陣との間で激しい戦いが勃発しました。

その模様を中立的な立場で傍観していた私がその一部始終をお伝えしたいと思います。

出勤していた従業員に陽性判定が出たのがことの発端

まず概要を説明しましょう。

体調不良でPCR検査を受けた1人の従業員が陽性と判定され自宅待機となったのですが、症状がで始めたとき数日は出勤したというのです。

そのため会社としては「社内で他の従業員に感染していないか?」ということを確かめたかった。

しかし公共機関の定める「濃厚接触者」にあたるひとはおらず、他の従業員にPCR検査を受ける義務はありませんでした。
※濃厚接触者:マスクをせず6フィート以内で10分以上会話した場合これにあたる

ここからが重要です。

日本の本社は大事をとって同じシフト全員に検査を受けさせたいのですが、その場合人手不足となり数日は操業停止となります。

それに対して現地アメリカ人スタッフは、ルール上必要ないものを無理に押し通しても安全性は高まらないし、今後も頻繁に操業停止に追い込まれることを懸念しています。

社内での感染拡大を意地でも防ぎたい日本サイド

日本人側はこのように主張しています。

  • 日本からは同じシフトで働いていた人全員仕事には来させず、検査を受けさせるべき
  • 社員や家族の安全を確保するため広い範囲で検査を実施すべき
  • 社員がその間働けないことによる会社の損害は容認
  • 検査対象を絞りリスクを取るなら、社内での感染の危険性がある
  • 今後社内で(感染経路に関わらず)感染者が増えた場合、安全衛生の責任者の評価を下げる等が必然
  • 今後の状況をみて検査対象者は変えていく必要があるかもしれない

既に対策は十分であり先を見通して対処したいアメリカ人サイド

それに対しアメリカ人側の主張はこの通り。

  • ルール上検査を受ける必要がある従業員はいない
  • 検査を受けてもらう人を増やすとしても、範囲設定があいまい
  • 同じシフト全員検査となると、人手不足で今回に限らず今後数か月はまともに仕事が続けられない
  • 今回決めたルールをケースに応じて今後変更することは、従業員を区別する印象を与えかねないため絶対にしてはならない
  • 現状感染防止策は十分にできており、社内での感染拡大リスクは非常に少ない
  • 社内で検査対象や隔離のルールを決めたら、今後インフルエンザ等他の感染症にも適応する必要がある
  • 社内以外での感染はコントロールできないが、発熱があった場合の隔離は既存のルール内
  • 地域の条例は専門家の知見のもと決められたものであり、これに従えば感染リスクはほとんど抑えられる

「従業員のためになるかどうか」が重要なポイント

両者の言い分は理解できますが、食い違う点がいくつかあります。
それが今回の争点になります。

  • 条例に従い対策を行い検査対象者や隔離期間を設定することは十分なリスク回避と言えないのか
  • 今後十分な対策を行ったうえで感染者が出た場合、管理者の責任問題となり得るか
  • 一定の基準を超えた感染対策を行うことは従業員のためになるのか
  • 会社の対応によっては従業員からの信頼を著しく下げる可能性がある

現地アメリカ人の意思を尊重する結末に

結果としては、渋々アメリカ人サイドの主張をのむ形になりました。

  • 同じシフトの従業員は検査なしで操業を続ける
  • 濃厚接触者には当たらないがもっとも近い場所で仕事をしていた2名は任意で検査を受け陰性確認後仕事復帰
  • 陽性判定の従業員は14日間自宅待機後、発熱が治まり24時間以上経過していれば仕事復帰

ただその後何事もなかったかのようにこれまで通り仕事を続けると言うわけにはいかず、それまでの検温やマスク着用のルールの後押しとして、

  • 感染者に見られる発熱などの症状がないこと
  • 感染対策の社内ルール必ず守ること

という条件に対して、出社時に従業員が毎日サインするという極めて異様な習慣が生まれることになりました。

意見が割れた理由は社会性

今回改めて思ったのは「日本人過剰じゃないか?」ということ。
でもただ単にみんなが心配症なわけではなく、社会的圧力がそうさせていることはひしひしと感じました。

アメリカの日本人社長も、決断に合理性があるかどうかなどは考えておらず、いざというとき言い訳するための行動を取っておこうという意図が見え見えですね。

それに対してアメリカ人は非常に冷静で、少なくともマネージャー陣はリテラシーが高いように思いました。
そんな彼らが恐れているのは「ルールを変えること」です。

日本人はとても従順で明確なルールがなくてもみんなが空気を読んで行動できるのですが、アメリカ人の場合そうはいきません。
ルールを決めそれを承諾させ、破ったらこれ以上働かせることはできないとしなければルールは守られないのです。
その代わり一貫性がなければいけないし、それ自体に不満があれば容赦なく抵抗します。

そういった違いから意見の相違が生まれたと私は思います。
もちろん健康は第一、でも会社の運営も従業員を食わせるためにはとても重要。
どちらを取るかではなくどちらも両立させなければいけないのです。

感染拡大は勢いを失ったものの、冬になるとどうなるかは分かりません。
いつまでも守りの姿勢ではなく、今一度考えを深めて行動していくべきじゃないでしょうか。

-仕事 / WORK

© 2021 上司がアメリカ人ブログ Powered by AFFINGER5