日本や韓国は年上、年下で「上下関係」が存在します。
我々はこれを当たり前のように受け入れて日々生活し、一枚壁を隔てて周りとコミュニケーションを取っています。
外人が日本語を勉強するときにとっても苦労する「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」のような敬語もこの文化から生まれたのでしょう。
「アメリカは上下関係がなくていいな~」
なんて思っている人も多いかと思いますが、実はそんなこともないんです。
むしろ日本よりも厳しんじゃないか!?と感じるくらいです。
私が肌で感じた、日本とは少し違う文化のお話をします。
アメリカは実力社会
上下を決めるのは年齢じゃない
結局これが本質なんですが、上下関係を決めるのは「年齢」なんて言う誰にでも平等に与えられるものではなく、個人が積み重ねてきた努力の結晶である「実力」というわけです。
当たり前といえば当たり前ですが、それに少し違和感を覚えてしまう我々日本人が少しズレてるのかも...
実力がある人間がリーダーになるというのはわかります。
ではアメリカの上下関係、あるいは縦社会っていうのは実際どういう構造なの?っていうのが気になるところですよね!
キッチリと縦社会
私が感じたのはビックリするほどに「縦割り」ということ。
具体的に言うと社内では、
①上司の言うことはしっかり聞く
②自分の上司以外の上司(他部署)からは指示を受けない
③上司ですらない他部署の同僚はむしろ敵
つまり、基本的には自分の上司の言うことしか聞かず、
「何かあるならおたくの上司を通じて、私の上司に話をしてください」という姿勢なんですね。
アメリカって敬語もないし横のつながりで誰とでも対等に意見し合えてバリアフリーな感じだと思ってましたけど、この辺りは日本人よりも「縦社会」という印象です。
上司にチクる
社内がこんな構造だからこそ、なんか小中学生みたいな振る舞いに見えることがあります。
「○○さんが仕事中に無駄話が多くて困ります。」とか、
「××さんはいつもお昼の休憩から戻ってくるのが遅いです。」とか、
本人に直接やんわり言えば済むようなことも、わざわざ上司にチクるというのが普通らしいです。
なぜなら自分の上司以外の人の意見は聞き入れないから。
逆にこの掟を破ってしまうと、うちの部下に指図するなと上司も巻き込んだケンカになって部署ぐるみの抗争に発展する可能性があります。
ご注意を!
同僚の態度が急に変わった話
同じ部署の同僚が昇進した
私は出向でアメリカのグルーブ会社に来た駐在員であるため、役職や職級は本社のルールに従います。
出向先でどんな立場(主任、係長みたいな)として働くかはグループ会社の社長の裁量で適当に決められるわけです。
それによって給料が上がったり下がったりしません。
ある日社長から、同僚を名前の付く役職に昇進させるという話がありました。
同僚は中途採用で年齢も私よりかなり上です。
「君でもよかったけど、名前付いてもしょうがないだろう」と。
モチベーションアップもにもなるし仕事も頑張ってくれると社長は思ってたそうですが、その日から同僚の態度が激変。
俺はおまえよりもエライんだぞ?と言わんばかりに指示するようになり、私の意見は聞かなくなりました。
役職=実力
昇進するということは実力が認められたということで、彼の中では明確な違いがあります。
日本でいう窓際○○みたいな、
「年齢が上だからとりあえず昇進させとくけど、端の方で静かにしてて下さいね。」
という概念はないのです。
立場が上がると責任も生まれるし、結果を残さなきゃいけなくなる。
アメリカの上下関係というのはこういうことなんです!
そう考えると、とても合理的でいいじゃないか。
日本のような悪しき風習はなくすべきだという意見もあると思いますが、実は私自身は年功序列もアリだと思っているのです。
年功序列は日本人に合っている
見栄を張りたい
年を取ればだれでもエラくなれる年功序列の社会では、自覚がないのにいつの間にか後輩という自分より立場が下の人間が現れます。
そういう時は誰でもカッコつけたくなりますよね?
アメリカ人にはない感覚。
日本人は昔から長男が一番大事にされたり、言語の中に敬語という大きな特徴があったり、遺伝子レベルで、
「年上はしっかりしてなきゃいけない」
という意識が刷り込まれています。
立場が人を育てる
小学生の時から一つ上の学年の人をお兄さんとして接し、社会人になってもその階段を一段ずつ登っていくことになります。
常に「良き先輩」である自覚を持って行動することによって自分自身を高めることができるのは、日本人の特質だと思います。
上下関係と一口に言っても捉え方は様々です。
もしあなたがアメリカ人と仕事をすることになり、上司・部下の関係になったら、良くも悪くも今までの概念はぶち壊してしまいましょう!
その時にこの記事を思い出せば良き関係が築けるかもしれません。